平熱日記

平熱の日記

2021年5月18日(火)のこと/相棒を手に入れた日

買おう買おうと思って欲望をほうっていた自転車を買った。深い緑色の車体。


帰路、梅雨を感じさせる湿気のなか、思い切ってこいでみる。その瞬間目の前が開け、爽快な風がわたしを包み込み、これから訪れる快適な生活に心を震わせた。

という劇的な心情変化なんてものはなく、こわごわとペダルを踏み込む。一足ひと足、ただ踏み込むことをして、ときにその速さに魂が置いてけぼりになるような感覚で、震えながら帰った。(魂とかいいたくなるのは、呪術廻戦の影響だ)


乗ってみてわかったけど、わたしは自転車偏差値が低い。歩道を走るのか車道を走るのかもわからない。人にぶつかりそうで自分が信じられない。帰ってから「初めての自転車ガイド」を熟読した。(「車道が原則、歩道が例外」だそうだ)

 

帰宅して、うちのアパートに自転車置き場がないことの重大性を実感。

他の部屋の人が家の前に自転車を置いているもんで、自分もそうすればいいと思っていたのだけど、うちは2階の一番奥の部屋。鉄筋の、自分の1.5倍長くこの世に存在しているアパートにエレベーターなどない。

ひとまずチャレンジしたものの、通路の幅も、階段の角度も、何より車体の重さが……圧倒的に「無理」だった。(よく見ると、他の部屋の住人は大抵折り畳み自転車である)

調べて買えと思うが、重さも大きさも、自転車置き場がないということの苦しみの可能性全てが頭からスコンと抜けていた。つくづく、自転車偏差値が低い……。

とりあえず上げるだけ2階に上げてみたけれど、腕も脚もプルプルと震え、銭湯帰りのように汗ばむ。

「これはやばいな(100%乗らなくなる確信)」と思った瞬間に20kgの自転車を見つめながら、物理的に震える手で大家さんに電話していた。とりあえず1階通路に置いていいと承諾を得る。ありがたいね。


ということで、相棒ができました。


大好きな少年アヤさんは自転車の相棒に「ロンリー」と名づけていて、ほんとにいい名前だなぁと思っている。音もいいし、ことばもいい。哀愁もあるし、自転車ひとりでどこかに行ってしまいそうな、さすらうかんじが漂っていて。

わたしの相棒にもそんな名前をつけたいと思うけど、こういうとき、わたしは気合いがから回ってしまうのだ。豆生田にしようかな…。


そういえば、大家さんから謎の信頼を得ているわたし、電話にて「10×号室の方、夜逃げしてらっしゃらない?」と聞かれる。

なんでも、家賃の支払いが滞っており、電話も出てくれないとか。「電話に出てくれたら、いろんな制度もあるから、お話もできるんだけど……」と、そこまで困った風でもないようにお話しする大家さんは、電話と手紙でしかやりとりがないけれど、かわいらしくてちょっと下世話で、しっかりとした方だなと思う。

にしても、夜逃げしてらっしゃらない? のパンチライン。善意をひしひしと感じるので、「電気はついているようでした」とだけ伝える。

 

今日は『映像研には手を出すな!』を少し見進めた。女子高生が主人公だとしても、こういう描き方のものは不安を感じずに見れるのだ。

明日は歯医者に行く。